2学期始業式 校長講話

 2学期が始まり、学校に生徒の元気な声が帰ってきて、活気が出てきました。本日の始業式の校長講話の内容を載せますので、お読みください。

 

「生きるって」素晴らしい、夢はでっかく・根はふかく

 

 長い夏休みが終わりました。日数は42日間でした。

夏休みに入る日に、皆さんと約束をしたこと、それは、元気に無事に、2学期の始業式に会えることでした。

ご家庭から、大きな事故の連絡も無く、皆さんと、こうして会えることを本当に嬉しく思います。

 

 さて、今日は、2学期の始業式に際し、「ライ麦の根」という話を紹介したいと思います。この話は、私が担任をしていた時に、始業式の日、クラスでよく話していた内容です。校長先生のクラスになったつもりで聞いてください。

 

◆アメリカのオハイオ州の大学で、次のような実験が行われました。

 木でつくった小さな箱の中に土を入れ、そこに一粒のライ麦の種をまきます。水を与えながら、数十日それを育てると、20cmほどの小さくて弱々しい一本の麦の苗が育ちます。そして、その小さくて弱々しいライ麦が、その生命を支えていくために一体どれほどの根を土の中に広げているかを調べました。

 箱を壊し、土をはらい、目に見える根はすべてその長さを測り、肉眼でははっきりと分からない根毛まで細かく計量し、土の中にはりめぐらされたライ麦の根の長さをすべて測ったのです。

 

◆では、ここで問題です。ライ麦の根の長さの合計は、どれぐらいになったでしょうか?

 

①20cm 、地上のライ麦と同じ長さです。

②300cm(3m)、一般的なバスケットゴールリングの高さぐらいです。

③2500cm(25m)、学校のプールぐらいの長さです。

④2km。cmにすると、20000cmです。ここから川口駅ぐらいまでの距離になります。

⑤その他。ここには答えはありませんという意味です。「20cmより短い」と思った人や「2kmよりも長い」と思った人は⑤を選んでください。

 

◆答えは決まりましたか? 正解を発表します。答えは⑤の「その他」です。では、どれぐらいの長さだったのでしょうか? 20cmのライ麦の根の長さは、…………………(※5)なんと「11200cm」ではなく、「11200km」です。

 

◆ここから川口駅どころではなく、日本を飛び出して、北アメリカのメキシコシティーまでの距離とほとんど同じです。めちゃくちゃ長いですね。

 

 実は、この話の種明かしをすると、以前に読んだ『生きるヒント』という本で知ったのですが、著者の五木寛之さんは次のような思いを書かれていました。

 

 「風にそよぐ一本のライ麦が、その貧弱な生命をささえるために一万一千二百キロメートルの根を目に見えない土中に張りめぐらし、そこから必死で生命の糧(かて)を吸いあげつつ、生きつづけているというのは、じつに感動的でありませんか」

 

と、校長先生もこの話を初めて聞いた時はとても驚き、感動しました。

 

◆ただただ、「必死で生命の糧を吸いあげつつ生きつづけている」のは、ライ麦だけではありません。セミも、カブトムシも、メダカやスズメも必死で生きています。もちろん、人間も同じです。人間には、ライ麦のような長い根っこはありませんが、心臓は24時間休むことなく動き続けています。

「生きる」ってすごいことだし、すばらしいことだなぁ、と改めて思いました。

 

◆最後に、相田みつをさんの有名な詩の一つに、「夢はでっかく 根はふかく」という根のことが書かれたものがあります。

「大きな夢を持ちたいのなら、根が深くならなければいけない。反対に根が深くなればなるほど、夢も大きくなる」というような意味です。

 

 見えないところでがんばったり、当たり前だと思えることに、ていねいに取り組んだりすることがとても大切なんです。

 

◆今日から2学期が始まります。生きているすばらしさを感じ取り、今、できることに一生懸命取り組み、でっかい夢をかなえるための根を育てていけるよう、がんばっていきましょう。